【仕掛学】「やらないといけない」が「やってみたい」に。戦略的に人を動かす心理学。

仕掛学  シンリガク

部屋の中は整理整頓されていた方がいい。

机の上はきれいに片付いていたほうがいい。

「やらないよりはやった方がいい」ことって日常は普通にありますよね。

まったくもって正論なのですが、実行できているかといったらそうでもない。


▲書類の並び順も全くルール化されていないボクの棚。2段目なんかゴミって言ってもいいくらい。

 

机の上を片付ける、なんて誰かに強制されてやるものでもないですし。

 

出したものは片付けなよ

 

ハイハイ、わかりましたよ

 

で、結局やらない。

こんな経験ありますよね。

 


▲会社のPC脇の整理スペース。ただただ突っ込んで重ねてるだけ。左下の赤いのは中国の事務所からサンプルで取り寄せたUSBの扇風機。

でもね、分かってるんです。

「片づけなければいけない」

「整理しないといけない」

というのは。

おそらく「○○しないといけない」っていう後ろ向きな言葉がダメなのではないかと。

 

言い訳はじまったよ

 

後ろ向きな言葉がダメだったら前向きなポジティブイメージに変換させればいい。
そうすれば自発的に動くことができるってことですよね。

今回紹介する『仕掛学』は、間接的に気持ちを誘導して目的を達成させる心理学的な学問。

「○○しないといけない」

「○○してみたい」

に変換できる魔法のような学問があったんです。

 

仕掛学とは

仕掛学の考え方

「やらなければいけない」
「やった方がいい」

正論だとは分かっているけど実行に移せない事って多いと思います。

こういったことを

「やってみたい」
「無意識のうちにやっていた」

のように間接的な誘導をしてあげる動きが「仕掛け」、そしてこの仕掛の研究によって確立された学問が『仕掛学』です。

人の行動を変える仕掛けを対象にするという新しい分野。

確立されたのは大阪大学の松村真宏教授。

 

 

仕掛学とは?

ある事柄に到達する為に行動を強制するのではなく、魅力的な選択肢を用意する事によって目的の行動に誘導する

 

一言で言うとこんな感じ。

いくつか具体例を紹介します。

 

 

仕掛け(1) ファイルの整理

ファイルの整理って意外と面倒ですよね。
単純に番号をふったりするだけでは必ずしも順番通りに並べるとは限りません。
なんなら上下も逆になってる事もあるし。
結果、どのファイルに何が入っているのか分からなくなってパ二くる事になるのです(←ボク)

ココで仕掛け

戦略的に人を動かす「仕掛け」というツール〈前編〉 | MANA-Biz マナビズ

書類をまとめたボックスを並べます。
そこへ斜線を横断させて書いておく。
この斜線がある事によって、ついつい無意識のうちに決まった順番の通りに並べるように誘導されるのです。

 

誰かボクにこの仕掛けを

 

仕掛け(2) ゴミはゴミ箱に

ゴミ箱がちょっと遠い所にあって、イチイチ捨てにいくのもメンドクサイ。
なんて事よくあると思います。
そんな状態が続いてしまうと自分の周りがゴミだらけになってしまうのです(←ボク)

ここで仕掛け

松村研究室

ゴミ箱の上にバスケットボールのゴールを設置。
なんとなくシュートしてみたくなるじゃないですか。
そうする事で「ゴールにシュートする」という行動が、結果的にゴミ箱に捨てる事につながっているのです。

誰かボクにこの仕掛けを(2回目)

 

コレ、ゴミに限らず応用が出来そうです。

ウチのムスメもそうなんだけど、おもちゃとか出したら出しっぱなし。
残念ながら父親に似てしまって片づける事がヘタクソなのです。
だからおもちゃ箱的な物を用意して、そこにゴールを設置しようかななんて。

 

仕掛け(3)(男性にしかわからないかもだけど)トイレ事情

立って用を足す時、結構飛び散ったりするものなんですよ。
必ずしも正面を向いている訳ではないのです。
ちなみにボクのは若干右寄りです。

飛び散ってしまった物は誰かが掃除しないといけないのですが、そもそも飛び散らなければそういう心配は不要で。

「綺麗に使いましょう」とか貼り紙をしている事も多いと思いますが、そういう物ってそれほど効果があるものではないんですよね。

ここで仕掛け

的を書く事によって、用を足す時には狙いを定めるという部分に意識を誘導します。

思い出してみると小さい頃には便器の中に消臭剤的な玉っころが置いてあることが多くて、わざわざそれに狙いをつけてた記憶があります。

今思うと「玉を溶かしてみたい」という方向へ誘導されていたんですね。

ちなみに最近では、燃え盛る炎の絵柄のシール、しかも温度によって色が変わって火が消えていくように見える物もあるらしいです。

 

コレはやってみたいよね、割とマジで

 

仕掛け(4) ライオンの口で食中毒の予防

ここ最近、公共の場に行くと入り口付近に消毒用のアルコールが置いてあるのをよく見ますよね。
アレ、使ってますか?

ボクは正直言うとほとんど使いません。

消毒を否定する訳では無いんだけど、不特定多数の人が使うものに抵抗が多少あるんですよね。

消毒するものが触れないという間違った潔癖症だね

 

ここで仕掛け

大阪の天王寺動物園です。

ライオンの像が置いてあるんだけど、口の中に手を入れられる仕様になっています。
こんなの見たら多くの人は口の中に手を突っ込みたくなるじゃないですか。

実はこの口の中には自動の消毒器がついていて、手を入れると自動的にアルコールが噴射される仕組みになっているのです。
さっきのトイレと同様、「消毒しましょう」「手を洗いましょう」みたいな貼り紙だけするよりは1000倍効果的だと思います。

 

 

世界は仕掛けでできている

仕掛学 考え方

「仕掛け」というのは、仕掛ける側が強制するものではなくて、あくまでも誘導する為の選択肢を提示する事によって無意識のうちに選んでもらう、というもの。

先程のバスケットゴールもトイレの的もそういう事ですね。

ゴミ箱の上にゴールを設置するという事で、ゴールにシュートしてもいいよっていう選択肢を提示しているだけなんですよ。
別に「シュートしなさい」とか貼り紙してる訳ではないし。

「コレがこうなっているという事はこうしたら面白いのではなかろうか」という興味を持たせる事がポイント。

そういう仕掛けって意外と身の回りにもあるんじゃないかなと思いまして。

 

世界一深いゴミ箱

とりあえずこちらを。

The world's deepest bin – Thefuntheory.com – Rolighetsteorin.se

ゴミのポイ捨てを改善する為に設置されたゴミ箱です。

中にスピーカーが仕込まれていて、ゴミをこのゴミ箱に入れると地下深くまで落ちていく様な音が流れてきます。

わざわざどこかからゴミを拾ってきてまでこのゴミ箱に捨てる人もいるのだとか。

 

音の出る階段

ストックホルムにある駅の階段。左側に注目してください。
所々に黒い部分が分かると思います。
コレ、何かに似ていると思いませんか?

そう、ピアノの鍵盤。
階段に鍵盤の装飾をしているだけでなく、人が階段を踏むと音が鳴る仕組みになっているのです。
この階段にした結果、それまでと比べて7割くらいの人が階段を利用する様になったらしいです。

ちなみに日本でも同様の階段が存在します。

JR岐阜駅のピアノ階段。
ドレミ階段という名前で人気スポットにもなっています。

 

日常生活のなかにも仕掛けはあふれている

例えば電車の座席。

昔は7人掛けくらいの座席ってフラットな1つのシートでした。
今の座席を思い浮かべてみてください。
きちんと1人分ずつくぼみがあるじゃないですか。
アレだって仕掛けです。
くぼみがある事によって1人分のスペースを暗に示しているんですね。

例えばポイントカード。

コンビニでもスーパーでもネット通販でも買い上げ額に対して所定のポイントが付与されます。
このポイントを貯める事によって次回の買い物に現金代りに使えたり、その他様々な特典があったり。
ポイントを付けるという仕掛けによって次回の来店に誘導しているんです。

 

物理的トリガーと心理的トリガー

仕掛けの組み立てには「物理的」なものと「心理的」な物が必要です。

物理的なトリガーはゴールであったりライオンだったり。
知覚される特徴です。
まず興味を惹く事で仕掛けに入っていくのです。

対して心理的なトリガーというのは、知覚した物に対しておこる心理的な働きの事。
ゴールがあったらシュートしてみたくなるし、ライオンの口があったら手を入れてみたくなる。

そういう双方の関係性が仕掛けには重要な役割を担っているのです。

 

「仕掛け」というのは

・問題の解決につながる様な行動の選択肢を提示する事により、それを誘発するきっかけとなるもの
・きっかけ(物理的)⇒動機(心理的)という順序で行動を誘発させるもの
・仕掛けによって当人や第三者が不利益になる事はない(後述)

 

 

FAD要件

仕掛学の発案者の松村教授によると、仕掛けられた側が損をしたり不快な気持ちになったり、強制されたりする場合は『仕掛け』には該当しないとの事。

あくまでも行動の選択肢を増やして提案する事が仕掛け、という考え方。

さらに仕掛けを満たすためには3つの要件が必要です。
3つの要件の頭文字をとって<FAD要件>と呼ばれるもの。

 

Fairness(公平性)
Attractiveness(誘引性)
Duality of purpose(目的の二重性)

 

噛み砕いてみましょう。

 

F=公平性

仕掛けによって不利益を被る人が誰もいないという事。
損をする人がいるのであれば、それは仕掛学でいう所の仕掛けには該当しないのです。

先に書いた例でいくと、ゴミを捨てたり手を洗ったりする事を誘発されたからといって、それが損になる人はいないのです。

 

A=誘引性

あくまでも誘導するだけ。提示するだけ。
そこに強制、強要はないのです。

ゴミ箱の上にゴール付けておきましたよ、って言うだけ。
ゴミは絶対にゴールから入れろって言ってる訳ではないのです。

無理やり行動を変えさせるようなものは仕掛けとは呼ばないのです。

 

D=目的の二重性

ちょっと難しいかもしれませんが、仕掛けには「仕掛ける側」「仕掛けられる側」がいて、それぞれ目的が異なるんです。

例えば、ゴミ箱の上のゴール。
仕掛ける側の目的は『ゴミをゴミ箱に捨ててもらう事』
対して仕掛けられる側の目的は『ゴールにゴミをシュートする事』。

ライオンの口の場合は『消毒、殺菌をして欲しい』と『ライオンの口に手を入れてみたい』。

これが目的の二重性。
ちなみに双方の目的が一見無関係に見える方がうまくいく仕掛けになるんだそうです。

 

確かに前述の仕掛けにはこの3要件が備わっていました。

決して強制する物では無く、本人がついついやってみたくなる状況を用意して、自主的にその行動を選ぶようなイメージですね。

 

 

まとめ|仕掛学は仕事にも日常生活にも役立つ心理学

 

仕掛学おもしろいね

 

強制することなく他人の意識を誘導する事のできる『仕掛学』

ウマく使えばビジネスにも応用できると思います。
新人の教育をする時の意識付けに利用したり、競合相手よりも優位にたてる土俵をつくったり。

 

なかなか発注くれないデザイナーさんにいつもの倍以上の数量付けさせたり

納期遅れしたボクの商品を誰も損をしない形でシレっと納品したり

 

ハードなミッションになりそうなものもありますが。

日常生活の中でも「仕掛け」は意外と多いもの。
少し気にしていると刺激があって面白いかもしれませんね。

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